こちらでは去年上映されており、最近日本で公開されたらしい「ブルーノ」を漸く見た。

兎に角、下ネタ満載でぶっ飛んでいた!!




「セレブになりたい」そう願う主人公ブルーノの情熱はとてもピュアで、彼はこの目的の為に様々なことに取り組む。ミラノのファッションショウに乗り込みメチャメチャにしたり、慈善事業家として活動するポーラ・アブドゥル人間椅子に座らせて怒らせたり、(日本版ではここはカットされているらしいが)ちんぽ回しのTVショウを作成したり、ロン・ポールを巻き込んでスキャンダルビデオを撮ろうとしたり、マドンナやブラピ+アンジーにちなんでアフリカ人の子供を養子にしたり、etc...とにかく自分の欲望と夢の実現に向かう彼の姿勢はとても真摯だった。そしてその真摯さは、彼の行動に激怒する人々の反応を通じて、見ている自分の常識に拮抗し、刺激する。こうやって文字に起こす時にも彼の毒がじわじわと効いて来る、選ぶ言葉が大変だ。


そしてこの映画の醍醐味でもあるのだが、所々に有名人が出ていたり、実際どうやって映像に収めたのだろう、と目を疑いたくなるような箇所がかなりの頻度で登場する。例えば先に挙げたロン・ポールやポール・アブドラ等、こんな人がこの映画に!?という人が登場する。その辺りのカラクリは映像を見ただけでは良くわからないのだが、色々とwebサイトを見ていると、そこらへんの絡繰りについて言及されている。言ってみるなら精巧に計算された「電波少年」方式で、如何に彼らが一つの映像にこだわってモノにしたのか、ということが良くわかった。


その様に考えてみると、この映画は果たして唯の御下劣映画なのか、それとも巧妙に仕組まれたイタズラ映画なのかという疑問が湧いて来る。ホモフォビアを挑発し、お高くとまったセレブ達をあざ笑い、我らマイノリティと息巻くアフロ・アメリカン達の保守的な思想を明らかにしているのだ。そして実際それをネラってやっていそうな所が凄い。このように、映画を見終わった後も色々と考えてしまう、映画の外にまで発想を繋げて行ってくれる映画だった。こういう映画は大好きだ。


ちなみにブルーノはオーストリア人という設定で"ドイツ語なまりの英語"を喋る、という事になっているが、俺はこんな英語を喋るドイツ人を見たことが無い、という様な喋り方だった(笑)。スティービー・ワンダーのことを"しゅてぃーびー・ぶんだばー(ドイツ語でワンダフル)"とか言ってたけど、こういうニュアンスって字幕にはどう現れていたのだろうか、ちょっと気になるので、日本で見た人がいたら教えて下さい。

※ちなみにこの映画の冒頭は何故かベルリン(笑)