Kirschblute // HANAMI

少し遅くなりましたが、Berlinale(ベルリン映画祭)で幾つか見た映画の感想をアップ。

まずはDorris Doerteの「花見」
http://www.berlinale.de/en/programm/berlinale_programm/datenblatt.php?film_id=20080122

バイエルンの片田舎に住む夫婦が日本に憧れ、日本に住む息子を訪ねて行こうする話。

妻の方が、北斎の画集を持っていたり舞踏に憧れて実際舞踏を踊ったりという、設定からしてツッコミどころは満載。

だが、山場はすごかった。文脈を超えてみるとただただ滑稽で仕方が無いシーンでも、反復による感覚の麻痺と、分かりやすい演出意図のお陰で、何か心にぐっと来る、そんなアンビバレントな気分になってしまった。ドイツ映画の底力を思い知らされる。


以下、簡単にストーリーを。


もう少し物語を丁寧に追いかけてみる。

結局の所、妻は日本に旅立とうと夫に提案するも、ケチなドイツ人気質が災いして、他の子供達の住むベルリンとバルト海へ足を向ける。バルト海のホテルにて妻は遂に息を引き取ってしまい、日本の地を踏む事は無かった。


そんな妻の無念の死を前にして、夫は日本に住む息子を尋ねた。失意のどん底の中、未知の世界に踏み入れた夫は只タダ戸惑うばかり。仕事を持つ息子も父親の世話を焼く事は出来ず、ビールを飲みながら彼の帰りを待つも、酔いがまわりネオンのきらめく待ちの誘惑へと足を踏み入れてしまう。言葉も分からぬ女性に指輪を触られ涙が止まらず我に返る夫。


僕には妻がいた。とても愛した妻がいた。

妻の憧れた日本に僕はいる。


その後夫は妻の衣服を見にまといコートで隠しながら桜の咲く東京を歩く。

そんな中、一人の舞踏を踊る少女と出会い、彼女と富士山を目指して旅をするのだが...。


ちなみに、Dorris Doerteはドイツ版ロスト・イン・トランスレーションと呼ばれる作品を幾つか撮っており、とても親日家なんだな、ということを伺わせる丁寧に東京を捉えた映画でした。