『善き人のためのソナタ』


ご存知のように外国語映画としてオスカーを獲得したこの作品。その様な状況に、および作品のあらすじや評判などから、少々政治的な意図を深読みし、あまり期待していなかったんだけど意外な事にこれが、最後に涙を浮かべずにはいられぬ程良かった。

ちなみに、原題はDas Leben der Andren、つまり『他人の人生』となる。


***以下、ネタバレあり***



日本語タイトルにも冠された『ソナタ』が物語の中心のモチーフとなると思いきや、これは伏線だった。そうではなく、主題はそれぞれの政治的意図を越えた所にある、人々の運命の奇異さ、不遇さにある。それ故、この作品は感動を誘うし、最後の最後まで見逃せない展開となっている。


映画鑑賞後、日本公式webサイトなどをふたたびチェック。

なんだかなぁ。この映画は『戦場のピアニスト』じゃないんだってば、と言いたくなってしまった。結局の所、話の内容が"自由への渇望"プロパガンダに成り下がってしまっている。いや少なくとも大きな間違いではないけれど、この映画が本当に描いていることを、すこし別の方向に誘導しているように思えてならない。

劇場に足を向けさせる為の工夫というのは必要だというのは良くわかるが、そいつはすこしレールを引きすぎちゃいないか、なんて思った訳でした。


まぁでも友人もコメントしてくれていたように、秀作、と言いたくなる映画。とりわけwebサイトや予告編をみて見る気を無くした人も是非見て下さい。オススメ。